革の選び方ガイド
初心者におすすめの革
レザークラフト初心者ガイド
ヌメ革タンローのすすめ
目次
どの革を買っていいのか分からない!
種類が多すぎてどれを買っていいか分からない!
革の種類、多いですよね。正直我々スタッフから見ても革の種類は多く感じます。
なめし方や、色、型、手触り、ツヤ、厚み、もううんざりするくらいの種類があって、何を基準に選んでいいのか分からないというお悩みは、初心者の方は特にお持ちではないかなと思います。
そこでこの特集記事では、これからレザークラフトを始める方や、始めたばかりでどの革を買おうか迷っている人に我々タンナーがオススメする革素材をズバリご紹介していきます!レザークラフト初心者で手縫いを考えている人は必見!
まずは知っておきたい「なめし」のこと
動物の原皮をそのままほっておくと腐ってしまうので、それを腐らないように処理することを「なめし」と言います。
まずはこの「なめし」の種類について知っておく必要があります。なめしの方法には大きく分けると2つあります。
■ 植物タンニンなめし
植物成分であるタンニンを使ってなめす方法を植物タンニンなめしと言い、この植物タンニンなめしで作られた革は一般的に"ヌメ革"という総称で呼ばれます。
植物タンニンなめしは硬くしっかりとした革が多く、財布、カードケース、スマホケースなど多くの作品に使われます。
当店の毎月の売上ランキング上位には常にこの"ヌメ革"系の素材がランクインしており、エイジングも大きな魅力の一つなので革の個性が好きな人ほどこちらのヌメ革系を選ばれる傾向があります。
- 植物タンニンなめしは色が変化するエイジングが魅力
- 革が硬くしっかりとしていて手縫いに向いている
- 当店売上ランキングでは常に上位に入る人気素材
■ クロムなめし
化学薬品のクロムを使ってなめす方法を「クロムなめし」と言い、植物タンニンなめしに比べてなめす手間がかからずコストも抑えられるので大量生産することが可能で、キズや水への耐久性も高いため、一般的に小売店で販売されている財布、バッグ、靴、ジャケットなどのほとんどにこのクロムなめしの革が使われています。
タンニンを含んでいないためエイジングによる色の変化がなく、伸縮性も高く、シミや色落ちの心配が少なくなるというメリットがあります。
またクロムなめしの革はコバ磨きが出来ません(磨いても綺麗に整わない)。へり返しで縫製するか、コバ液を塗布して整える等の処理が必要になります。
- クロムなめしは色が経年変化しない革
- 市販されている革製品のほとんどがクロムなめし素材
- コバ磨きしてもピカピカにならない
おすすめ革素材は、ヌメ革タンロー
この2つの「なめし」の特徴を踏まえたうえで、私たちタンナーがレザークラフトを始める人へオススメする革素材は
「ヌメ革タンロー」です。
その理由とヌメ革タンローの特徴や魅力をご紹介していきますのでぜひ参考にしてみてください。
レザークラフト定番、ヌメ革タンローを推す理由
単純に一番売れているから
この理由が一番説得力があるかもしれませんね。
当店の毎月の売り上げランキング1位は、ほぼこのヌメ革タンローです。
もちろん初心者の人だけでなく、多くのリピーターの方からもご注文をいただくレザークラフトでは定番、王道の革素材、それがヌメ革タンローなんです。まずは定番品から入るのは決して悪くない選び方です。
エイジングが楽しめる
ヌメ革タンローは時間とともに色が変化していく素材です。
革内部に含まれるタンニンという物質が紫外線(日光)を受けることで酸化し、革の色が白っぽい色から飴色に変化していきます。
この変化の仕方は人それぞれ異なり、例えばヌメ革タンローで作った財布一つにしても、使う人の手の脂や手入れの仕方などで変化の仕方は違ってきます。またツヤの変化もありますので、自分だけの個性的な唯一無二のアイテムとして育てることができる革素材であるため、多くのレザークラフトファンの間で人気が高いのです。
自分で好きな色に染色できる
ヌメ革タンローには色の仕上げが何も施されていませんので、自分の好きな色に染色することができるという点も大きな魅力です。
・この革のこの辺は濃く色を付けて…
・ここは薄めの色合いにして…
・色をぼかしてグラデーションを入れて…
など、好みの色にカスタマイズできてしまうところは他の染色系の革素材には無い大きなメリットと言えます。
革の染色もレザークラフトの醍醐味の一つですので、ぜひ染色にも挑戦してみてください。
もしあなたがヌメ革タンローを使って作品を制作したら、絶対に制作直後の写真を撮っておくことをオススメします。Before/Afterを眺めるのもまた面白いですよ!
革の厚みや硬さの選び方
革の厚みと硬さ完全ガイド
レザークラフト初心者のための基本から応用まで
目次
革の厚みと硬さの基本知識
革製品を選ぶ際、デザインや色に注目しがちですが、厚みと硬さは使い勝手や耐久性を大きく左右する重要な要素です。
革の厚みは用途に応じて最適な範囲があり、薄すぎると耐久性に問題が生じ、厚すぎると使いにくくなります。また、硬さは革の種類やなめし方法、仕上げ加工によって決まり、製品の使用感に直結します。
この記事では、革の厚みと硬さの基本から、用途別の選び方まで詳しく解説します。適切な革選びで、長く愛用できる革製品を手に入れましょう。
革の厚みの測り方と単位
革の厚みには複数の表記方法があり、正しく理解することが重要です。
mm | oz(目安) | 番手(目安) | 一般的な用途 |
---|---|---|---|
0.5-0.8mm | 1-2oz | 1.5-2.5番手 | 薄手の衣類、ライニング |
1.0-1.5mm | 2.5-4oz | 3-5番手 | 財布、薄手のバッグ |
1.5-2.0mm | 4-5oz | 5-6.5番手 | 一般的な財布、小物 |
2.0-3.0mm | 5-7oz | 6.5-10番手 | ベルト、鞄、靴 |
厚み別の特徴と用途
革の厚みによって特性や適した用途が大きく異なります。
薄革(0.5-1.0mm)
特徴:
- 軽量で柔軟性が高い
- 縫製しやすい
- 細かい作業に適している
- 耐久性は低め
主な用途:
薄手の財布の内装、手袋、衣類(シャツ、軽いジャケット)、ライニング(裏地)、アクセサリー
中厚革(1.0-2.0mm)
特徴:
- バランスの良い厚み
- 適度な耐久性と柔軟性
- 最も汎用性が高い
- 初心者にも扱いやすい
主な用途:
二つ折り財布、長財布、名刺入れ、小さなハンドバッグ、ポーチ
厚革(2.0-3.0mm)
特徴:
- 高い耐久性
- 型崩れしにくい
- 重厚感がある
- 縫製に技術が必要
主な用途:
ベルト、ビジネスバッグ、靴のアッパー、厚手のジャケット、工具ケース
硬さによる違いと選び方
革の硬さは使用感や加工性に大きく影響します。
柔らかい革の特徴
メリット:
- 手に馴染みやすい
- 縫製しやすい
- 折り曲げに強い
- カービングがしやすい
デメリット:
- 型崩れしやすい
- 傷がつきやすい
- コバ磨きが難しい
- 耐久性がやや劣る
適した用途:
衣類、手袋、柔軟性が必要な小物
硬い革の特徴
メリット:
- 型崩れしにくい
- 耐久性が高い
- 美しいコバ磨きができる
- 高級感がある
デメリット:
- 縫製が困難
- 初期は馴染みにくい
- 折り曲げに弱い場合がある
- 加工に技術が必要
適した用途:
財布、ベルト、鞄、構造的強度が必要な製品
硬さを調整する方法
霧吹きで水分を与えて柔らかくし、乾燥させて硬さを戻す
革用オイルで柔らかくする(使いすぎは型崩れの原因となるので注意)
手でもんで繊維をほぐし、徐々に柔らかくする
注意:硬さの調整は革の種類によって効果が異なります。高価な革や特殊な革の場合は、事前に目立たない部分で試す事をおすすめします。
用途別の厚み・硬さ選択ガイド
製品の用途に応じて最適な厚みと硬さを選ぶことが重要です。
製品 | 推奨厚み | 推奨硬さ | 理由 |
---|---|---|---|
二つ折り財布 | 1.2-1.8mm | 中程度 | コンパクトさと耐久性のバランス |
長財布 | 1.0-1.5mm | やや柔らかめ | 薄さと使いやすさを重視 |
名刺入れ | 1.0-1.5mm | 硬め | 薄く、型崩れしないことが重要 |
ベルト | 2.5-4.0mm | 硬め | 強度と型崩れ防止 |
ハンドバッグ | 1.5-2.5mm | 中程度 | 軽さと耐久性のバランス |
ブリーフケース | 2.0-3.0mm | 硬め | 重い荷物に耐える強度が必要 |
手袋 | 0.8-1.2mm | 柔らかめ | 手の動きを妨げない柔軟性 |
レザージャケット | 1.0-1.8mm | 柔らかめ | 動きやすさと快適性 |
靴(アッパー) | 1.8-2.5mm | 中程度 | 足の形に馴染む柔軟性と強度 |
キーケース | 1.2-1.8mm | 中程度 | コンパクトさと実用性 |
初心者向けの選び方のコツ
革選びで迷った際の実践的なアドバイスをご紹介します。
最初は中厚革(1.5mm前後)から始める
扱いやすく失敗が少ない
多くの用途に対応できる
コストパフォーマンスが良い
用途を明確にしてから選ぶ
何を作るのかを決めてから革を選ぶ
見た目だけでなく機能性も考慮する
将来の使用頻度も考える
実際に触って確認する
可能な限り実物を手に取る
硬さや厚みを体感する
表面の質感もチェックする
予算とのバランスを考える
高価な革ほど品質は良いが、用途に見合うかを検討
初心者は練習用に安価な革も併用
長期的な使用を考えて投資する
まとめ
革の厚みと硬さは、製品の使い勝手や耐久性を決める重要な要素です。適切な選択により、長く愛用できる革製品を作ることができます。
重要なポイント
革選びは経験を積むことで上達します。まずは基本的な知識を身につけ、実際に様々な革に触れながら、自分好みの革を見つけていきましょう。適切な革選びで、満足度の高い革製品作りを楽しんでください。
ヒント: 革の厚みと硬さを理解することで、作品の完成度が大きく向上します。迷った時は専門店のスタッフに相談することも大切な学習の一部です。
作りたいものに合った革の選び方
革選びガイド
用途別革材料選択の完全マニュアル
革選びの基本知識
革製品を作る際、最も重要なのは用途に適した革を選ぶことです。同じ革でも、財布に適したものと靴に適したものは全く異なります。
革選びで考慮すべき主要な要素は以下の通りです:
牛革、豚革、羊革など、動物の種類によって特性が大きく異なります。用途に応じて最適な種類を選びましょう。
0.5mmの薄手から4mm以上の厚手まで様々。製品の用途と加工方法に応じて適切な厚みを選択します。
柔らかい革は縫製しやすく、硬い革は型崩れしにくい。用途に応じてバランスを考慮しましょう。
染色方法や表面処理によって見た目と機能性が変わります。ナチュラル、染色、型押しなど様々な選択肢があります。
最初は汎用性の高い牛革の中厚革(1.2-1.8mm)から始めることをおすすめします。多くの用途に対応でき、加工もしやすいためです。
革の種類と特徴
主要な革の種類とその特徴を理解することで、適切な革選びができるようになります。
厚みによる使い分け
革の厚みは用途を大きく左右します。以下の表を参考に適切な厚みを選択しましょう。
厚み | 特徴 | 主な用途 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
0.5-1.0mm (薄革) |
非常に柔軟で軽量 | ライニング、薄手の衣類、アクセサリー | 縫製しやすい、軽量 | 耐久性が低い、型崩れしやすい |
1.0-1.5mm (中薄革) |
扱いやすく汎用性が高い | 薄い財布、名刺入れ、小物 | バランスが良い、初心者向け | 厚い製品には不向き |
1.5-2.0mm (中厚革) |
最も汎用性が高い | 一般的な財布、バッグ、小物全般 | 耐久性と扱いやすさのバランス | 特に目立った欠点なし |
2.0-3.0mm (厚革) |
高い耐久性と重厚感 | ベルト、ビジネスバッグ、靴 | 型崩れしない、長持ち | 縫製が困難、重い |
3.0mm以上 (極厚革) |
最高の耐久性 | 工具ベルト、鞍、特殊用途 | 極めて丈夫 | 加工が非常に困難、高価 |
製品別革選びガイド
財布・小物類
適度な厚みで型崩れしにくく、毎日の使用に耐える耐久性が必要。表面の美しさも重要な要素。
薄く仕上げることでポケットに入れやすく、多数のカードスロットにも対応。高級感のある仕上がりが求められる。
ビジネスシーンで使用するため、薄くて上品な仕上がりが必要。山羊革の独特な質感が人気。
頻繁に使用するため耐久性が最重要。軽量で丈夫な革を選択。豚革も選択肢の一つ。
バッグ・カバン類
書類やノートPCを入れても型崩れしない厚みが必要。ビジネスシーンに適した重厚感と上品さが求められる。
日常使いに適した軽量さと、荷物の形に合わせて変形する柔軟性が重要。カジュアルな質感も魅力。
長時間肩にかけるため軽量性が最重要。肩への負担軽減のため柔らかい革が適している。
重い荷物を入れても形を保つ厚手の革が必要。旅行用として長期間使用に耐える耐久性が重要。
ベルト・アクセサリー
フォーマルな場面で使用するため、硬く美しい光沢のある革が必要。型崩れしない厚みが重要。
日常使いに適した適度な柔軟性と耐久性。ドレスベルトより若干薄めで扱いやすい厚み。
肌に直接触れるため肌触りが良く、汗に強い革が適している。鹿革は水に強く理想的。
細かな加工に適した扱いやすい革。カラーバリエーションや質感の選択肢が豊富な革種が人気。
衣類・ウェア
動きやすさが最重要。羊革は特に柔らかく軽量で着心地が良い。牛革はより耐久性を重視する場合に選択。
指先の感覚を損なわない薄さと柔軟性が必要。羊革は最高級、豚革は実用性重視、鹿革は作業用に適している。
座ったり歩いたりする動作に対応する柔軟性が必要。特殊な柔軟加工を施した革を選択することが重要。
長時間の歩行に耐える耐久性と、足の形に馴染む柔軟性のバランスが重要。コードバンは最高級の選択肢。
革選びで迷った時は、用途の優先順位を明確にしましょう。耐久性、美観、軽量性、コストのうち、何を最優先するかを決めることで適切な革を選択できます。
同じ種類の革でも、なめし方法や仕上げ方法によって特性が大きく変わります。購入前に実際のサンプルを確認することを強く推奨します。
革の選択は製品の品質と寿命を左右する最も重要な要素です。安価な革で妥協するより、適切な革を選択することで長期的にコストパフォーマンスが向上します。特に高級品や記念品を作る場合は、革の品質にこだわることをお勧めします。