刻印できる革とできない革
About Stamping Leather
目次
どの革でも刻印を押せるの?
革には刻印がくっきりと綺麗に押せる革とそうでない革があります。
ここでは協伸オンラインショップで販売している革の中で、どの革が刻印に向いていて、どの革が向いていないのかを画像を交えてご説明していきます。
どうやって刻印を入れてるの?
刻印には焼印、打棒による打刻、プレス機などによる刻印、様々な方法がありますが、ここでは一般的な打刻で刻印を入れた革画像を記載しております。
水で濡らした方がいいの?
水で濡らした方がいいのは染色などの仕上げ加工が何もされていない
★ヌメ革タンロー
だけです。
その他の染色された革素材を水で濡らすとシミになる可能性がございますので、水で濡らしての刻印はオススメしません。どうしても水で濡らして刻印される場合は、実際に水で濡らすとどうなるかを端切れなどで試してからの方がベターです。
刻印に適している革
◆ヌメ革タンロー
レザークラフトで圧倒的に使用する頻度の高い「ヌメ革タンロー」。
ここでは柔らかく弾力のある「ヌメ革タンローソフト」と比較してみました。
画像に微妙な差はありますがどちらもくっきりと綺麗に刻印を入れることができます。
ヌメ革タンローとヌメ革タンローソフトは、全体を水で濡らして打刻した方がよりクッキリと綺麗に型が入ります。
※画像は水で濡らさずに打刻をしています。
【実際にレザータグを使って刻印を押されたお客様の作品例】
100均のクッキースタンプを使用して刻印を押された結婚式の席札。素敵ですね。
※水で濡れたものと乾いたもので色の濃淡に差があります。
※下記画像は56×36mmのレザータグになります。
↓こちらも結婚式の席札としてお客様が制作されたものです。
◆サドルレザー
レザークラフト定番のサドルレザー。
刻印もヌメ革タンローと同様に鮮明に押すことができます。
一見ヌメ革タンローと同じに見えますが、撥水加工を施しておりますので水に濡らしての刻印はオススメしません。
◆オイルヌメ
染色系素材では当店人気No.1のオイルヌメ。
いずれのカラーも綺麗に刻印を押すことができます。
50×25mmのレザータグでも販売しています。
◆オイルヌメソフト(販売終了)
オイルを加え柔らかく仕上げた革素材。
こちらも鮮明に刻印を入れることができます。
※オイルヌメソフトはシボのある革なので、押す箇所によっては見えにくくなる場合があります。
◆ヌメスムース
オイルを加え柔らかく仕上げた革素材。
こちらも鮮明に刻印を入れることができます。
※オイルヌメソフトはシボのある革なので、押す箇所によっては見えにくくなる場合があります。
◆セミアニリンヌメ革
銀面にコーティング加工と極小のケシボの型を押した革素材。
ワインレッドとブラウンカーキは色むらが特徴の「セミアニリンヌメ革EX」になります。
ヌメスムース同様、硬めの植物タンニンなめし革。
極小のケシボが刻印をより一層際立たせています。
◆ワックスヌメ
ックス加工と揉み加工でナチュラルなシワを表現した色合いの濃淡が美しい革素材。
どのカラーもクッキリ鮮やかに刻印が入ります。
◆リンクルヌメ
リンクルヌメもワックスヌメ同様にナチュラルな独特なシワ模様が特徴の革素材。
シワのある個所では若干見えにくくなりますが、基本的にはクッキリと刻印を残すことが可能です。
◆テラレザー
テラレザーは柔らかい素材ですが、画像のように鮮明に刻印を残すことができる革です。
厚みが1.2~1.5mmとやや薄いので打刻の強さに注意してください。
◆ブライドルレザー
植物タンニンなめしの素材をベースにしていますので刻印もクッキリ残すことができます。
押して凹んだ部分とホワイトワックスとの濃淡の差がより鮮明な印象を与えてくれます。
◆アジアンスムース
1.2~1.4mmとやや薄い革素材なので力加減に微調整が必要ですが、素材自体は植物タンニンなめしのスムースな革ですので刻印も目立ちやすいです。
※別売りのバングラスムース(//shop.kyohshin.net/banglasmooth.html)はアジアンスムースとほぼ同じ素材のため掲載していません。。
刻印に適していない革
◆ヌメエンボス
革素材の中でもかなり硬めの植物タンニンなめし素材ヌメエンボス。
特徴である深いシボの型は、キズなどを目立ちにくくさせるメリットがある一方で、刻印自体も非常に目立ちにくいという一面があります。刻印を押す素材としてはあまり向いておりません。
◆ダコタEV
植物タンニンなめしの素材ですが、とても柔らかく弾力があって型が残りにくく、自然製法で作ったナチュラルなシボもあり、型が目立たちにくくなりますので、刻印を押す素材としてはオススメいたしません。
※別売りの「ダコタ(https://shop.kyohshin.net/dacota.html)」はダコタEVとほぼ同じ革素材のため掲載しておりません。
◆バレンチノ
バレンチノは植物タンニンなめしの革素材ですが、厚みが約1.0~1.2mm程度(カラーによって異なります)と薄い革なので、力加減が難しくまたシボもあるため刻印が見えにくい素材。打刻する革としては適していません。
◆スムースレザー
汎用性が高く人気のあるコンビなめしのスムースレザー。
カラーによって厚みが異なります。
柔らかく弾力があるため刻印は入りにくい素材です。
◆グローブレザー
表面摩擦に強くしなやかなグローブレザーですが、柔らかく弾力もあるため打刻には向きません。
◆ヨーロピアンポニー
繊維が細かく、薄くて軽いという特徴をもったヨーロピアンポニーですが、その薄さから深い型を入れることが難しく、打刻には向いていません。
◆ポニーライト
ヨーロピアンポニーと同じく薄くて軽いホース革のポニーライト。こちらもやはり厚みがないので打刻には向きません。
◆スーパーソフトリッチ
家具用の革素材スーパーソフトリッチ。
とてもソフトでしなやかな革なので打刻を入れる素材としては適していません。
◆エルフィ
アニリンをはけで塗ったクロムなめしの柔らかい革素材。
柔らかく弾力性があるため型が残りにくく、打刻には向いていません。
白×ブルーの画像では打刻した部分が一部破れて中の白い繊維が見えてしまっています。
◆シュリンク
クロムなめしの柔らかい革素材ですので、打刻する革としてはオススメしません。
◆ラムソフト
薄く柔らかい革なので力加減が難しく、打刻する革としてはオススメしません。
◆本エナメル
ウレタン樹脂加工の層があるため刻印は非常に入りにくく、刻印を入れる革には適していません。
◆エンボスボックス
クロムなめしのスタンダードな革素材エンボスボックス。
適度な柔らかさと弾力性があるため打刻で鮮明に刻印を残すことは難しい素材です。
刻印に適していない革(床革系)
◆スエード
画像のオレンジなどは綺麗に型が入っているように思えますが、スエードの毛足がほぐれてくると見えにくくなってくる可能性はあります。
◆アンゴラベロア
こちらはスエードよりも毛足の長いアンゴラベロア。
うっすらと刻印が見えるか見えないかといったレベルの型の入り具合。
刻印を入れる革としては全く適しておりません。
◆プリマボックス
キズや摩耗に強く防水性にも優れているプリマボックスですが、表面に特殊樹脂加工を施しておりますので打刻には適していないと言えます。グリーンの画像では綺麗に型が入っているように見えますが、表面の樹脂層を突き破ってしまっており、刻印としては鮮明ですが、防水性といった革の性能を落とすことになります。
◆プリマトップ
プリマボックスと同じく表面に特殊樹脂加工を施したプリマトップ。
キズなどが残りにくい強度を持ち、シワ模様も含まれるため打刻に適した革ではありません。
◆プリマトップ厚口
3.0~3.3mmの分厚いプリマトップ厚口。
こちらも表面に特殊樹脂加工を施しておりますので、型が残りにくく刻印には向きません。
◆プリマオイル(2色)
こちらも表面に強力な特殊樹脂加工を施しておりますので、型が残りにくく刻印には向きません。
植物タンニンなめしのスムース革がベスト
綺麗に刻印を押すための条件としては
・植物タンニンなめし
・表面がスムース系
・繊維が硬め
打刻による刻印で鮮明に型を残すためには、植物タンニンなめしで表面にシボなどが無い(少ない)革をオススメします。
またヌメ革タンローを使って打刻する場合は、水で濡らしてから打刻した方が、よりはっきりと刻印を入れることができるでしょう。染色された革を水で濡らして打刻する場合には、端切れなどを使って色合いの変化などを試してから水に濡らしてください。
クロム・コンビなめし系は革が柔らかく弾力性がある場合が多く、打刻してもくっきり型を残すことは難しいことが分かります。こういった柔らかい革には焼印など別の方法を検討してみてください。
刻印されたお客様の作品例
レザークラフト作品ギャラリーの中で刻印を押されているお客様の作品を何点かご紹介します。